アクティブリスニングは、心理学やコミュニケーション学の分野で発展した考え方です。
カウンセリングの現場において重要性が注目されてきましたが、現在では教育やビジネスの現場においても非常に重要なスキルであると認知されています。
今回はアクティブリスニングを採用の現場で生かすための知識をみなさんにご紹介します。
「面接時は良い感じかと思っていたが内定を出すと辞退される」
「面接の中で正直、用意してきた回答しか聞けていない」
「1問1答形式の面接になってしまう」
こんな悩みがある方はアクティブリスニングを身に付けることで悩みが解決されるかもしれませんので、ぜひ最後まで読んでみてください。
【アクティブリスニングと傾聴の違い】
アクティブリスニングと傾聴は、似ているようで異なるスキルです。
傾聴は相手の話を解釈せずにただ聞くことに重点がありますが、アクティブリスニングは相手の話に積極的に反応し、フィードバックを返すことに重点があります。
アクティブリスニングは相手の話に丁寧に反応し、共感を示すことで相互の信頼関係を築く手助けとなります。
簡単に言うと「純粋に聞く」ことと「理解しようと努力しながら聞く」ことの違いと言えるかもしれません。
【アクティブリスニングのポイント】
アクティブリスニングのポイントとして、大きく2つの要素が挙げられます。
1.姿勢
2.テクニック
<姿勢>
~目線~
面接の場合を想定してみましょう。
パソコンや評価表などを手元に持って面接に臨むことが多いのではないでしょうか。
相手と会話をしている際にも評価表が気になって視線を落としてしまったり、メモを取り始めてしまったりすることがあるかもしれません。
あまりにも目線が合わない場合、人は受け入れてもらえていないと感じてしまうことがあります。
過度に相手の目を見つめる必要はありませんが、しっかりと「あなたの話を聞くことを最優先しています」ということを示す必要があります。
~表情~
相手が話している際にはしっかりと表情で共感を示すことが大切です。
何かに腹を立てている方がいて、その人の話をニヤニヤ笑いながら聞いていたら、その人はますます腹を立ててしまいますよね。
極端な例ですが、自身の話に相手が共感を示していない態度を取ったために関係性が悪化してしまうことはよくあります。
相手の会話にしっかりと耳を傾けていることは表情を通じても伝えることができます。
~聞き方~
相手を受け入れていることを示すためにも、身体を相手の方に向けて話を聞くことや腕や足を組まずに話を聞くことも重要です。
相手との物理的な距離を程よくとって、威圧感を与えないようにすることも大切です。
お互いにリラックスした状態で会話をすることができる態度を心がけましょう。
<テクニック>
~相手の話を遮らない~
相手の話を真剣に聞いていると、確認したいことやもっと詳しく話して欲しいことなどが出てくると思います。
その際に相手の話を遮って、確認したりすることは極力避けましょう。
アクティブリスニングを実践する上では、一旦相手の話をしっかりと聞くことが最も重要です。
もし、確認したいことが出てきた場合は簡単な単語などでメモを残しておくことをオススメします。
~話すトーンを揃える~
会話のトーンを揃えることは案外難しいです。
いつも元気で声の大きな方は、もしかすると相手が静かなトーンで話す方だった場合、威圧的な印象を持たれてしまうかもしれません。
また、相手が熱を持って語っている内容に対して冷めたトーンで返事をしてしまうと、興味を持ってもらえなかったと感じてしまうことでしょう。
相手の話すトーンを意識して、そのトーンとなるべく近いトーンで会話をすることによって、相手が話しやすさを感じたり、共感してくれていると感じたりします。
~オープンクエスチョンをする~
オープンクエスチョンとは「はい」「いいえ」では回答できないような内容の質問のことです。
面接が1問1答形式の会話になってしまいがちな方は特にこのオープンクエスチョンを意識することが大切です。
「あなたの一番のアピールポイントを教えてください」
「全社でNo1の営業成績を3年連続で記録したことです」
「すごいですね、営業がお得意なんですね」
「はい」
これでは相手が話好きでない限り、会話が終わってしまいますね。
ここでWhyやHowを尋ねることによって会話が広がっていきます。
「すごいですね、営業がお得意なんですね。(なぜ)(どのようにして)そんな好成績を収めることができたのですか」
といった具合です。
オープンクエスチョンをすることによって、より深い情報や相手の考えを知ることができます。
さらに相手が話す時間が長くなることで面接に対する満足度も高くなります。
~共感を示して相手の話を要約する~
これはオープンクエスチョンと併用していただきたいテクニックになります。
「大変だったんですね、地道な努力をされて素晴らしい営業成績を挙げられたのは本当にすごいですね」
相手の話を聞いた上で、相手の感情や行為に共感を示した上で話してくれた内容の要約を行います。
話を要約することは相手の話をしっかりと聞いていることを伝える上で最も有効なテクニックです。
相槌などで聞いている姿勢を示すことももちろん重要ですが、内容がしっかりと伝わっていなければ相手は話を聞いてくれていないと感じてしまいます。
【アクティブリスニングのトレーニング方法】
アクティブリスニングが重要なことはわかったし、役に立ちそうだけれどどうすれば鍛えられるかわからないという方のために、以下のトレーニング方法をオススメします。
<ロールプレイ>
営業のトレーニングなどでもよく実践される手法ですが、アクティブリスニングもコミュニケーションスキルですので、実際に対人で行うトレーニングが最も効果があります。
シチュエーションを想定して、役割を演じる練習をします。
相手の話に対してフィードバックを返す際に、適切な質問や共感の表現を身につけることができます。
<相手の話を最後まで聞くことを意識する>
アクティブリスニングは普段の生活の中でもトレーニングできます。
同僚や友人との会話の中で最後まで話を聞くことを意識するだけでも大きな効果があります。
普段会話をする中で意識していなかったけれど人の話をよく遮っていた、なんてこともあります。
これに加えてオープンクエスチョンの練習をしてみるのもいいでしょう。
アクティブリスニングの練習をしながら、会話相手と良好な人間関係を築くことができる可能性があるなんて一石二鳥ですね。
【まとめ】
求職者はそれぞれの動機を持って面接に臨んでいます。
アクティブリスニングを行うことによって求職者は今まで意識していなかったような、動機を具体的に言語化するという作業を面接の中で経験することができます。
実際に自身で言語化することにより、その動機はよりはっきりと強いものになっていきます。
アクティブリスニングを行うために日頃から以下を意識してみてください。
・姿勢(目線・表情・聞き方を意識する)
・テクニック(会話を遮らない・トーンを揃える・オープンクエスチョン・共感と要約)
・トレーニング(ロールプレイ・普段の生活から意識する)
アクティブリスニングを意識して面接を行うことで求職者との関係性構築はもちろん、内定辞退率低下などに繋がっていきますので、ぜひ実践してみてください。