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第三者評価を職員の“内発的学習”につなげる組織づくり

第三者評価は、施設の取り組みを外部の専門的視点から客観的に評価してもらえる貴重な機会です。この評価は単なる外部チェックにとどまらず、職員の“内発的な学び”を促し、組織力を強化するための大きなきっかけにすることができます。

評価結果を職員全体で共有し、
・特に良いと思う点は、強みどのように維持・発展させるか
・特に改善が望まれる点は、課題はどのように改善につなげるか
を議論することで、組織としての学習サイクルが生まれます。

また、第三者評価の自己分析シート作成は日頃の実践を言語化するプロセスを伴うため、理念や施設の方針を職員があらためて確認する効果もあります。
共生社会の実現には多職種協働や地域との連携が不可欠ですが、その前提となるのは、
「なぜ私たちはこのサービスを提供するのか」
「理念と実践は一致しているのか」
という根本的な問いを職員間で共有することです。

こうした観点から、第三者評価を“組織力を高めるツール”として活用することが、幹部層の方々に求められる重要な役割となります。

――ここからは、この理念的導入を踏まえ、第三者評価を用いて職員の学びを促進し、組織文化を育てるための具体的アプローチを解説します。

■ 第三者評価が「職員の学び」につながる理由

第三者評価は、施設の状態を客観的に点検するだけでなく、職員に“気づき”をもたらす装置と言えます。

  • 日常では気づけない視点が得られる
    第三者の目線からの評価は、普段の慣れで見逃されがちな課題を浮き彫りにします。
  • 実践の言語化が進む
    「普段やっていること」を言葉にすると、支援の意味や根拠がはっきりします。
    これは職員の経験知を共有知へと変える重要なプロセスです。
  • 理念とのつながりを再確認できる
    評価項目を通して、「理念に沿った支援ができているか」「何がズレているか」を見直す機会になり、組織全体の方向性を揃えることができます。

■ 幹部層の役割：学びを“設計する人”になる

職員の主体的な学びは、放っておいて自然に生まれるものではありません。
幹部層が意図的に「学びのデザイン」を行うことが不可欠です。

ステップ1：評価結果の共有方法を工夫する

評価結果は配布するだけでは意味がありません。
ポイントは、参加型の共有プロセスをつくることです。

● 全体 → チーム → 個人 の三段階共有

  1. 全体共有：評価結果の理解をそろえる
  2. チーム共有：自部署が取り組むべきことを議論
  3. 個人振り返り：自分の実践改善ポイントを言語化

この流れが、“行動につながる学び”を生み出します。

● 「問い」をつかって思考を促す

  • 私たちの強みはなぜ生まれたか？
  • 課題の背景には何があるか？
  • 理念に照らすと、改善の優先順位は？
    問いかけが職員の内発的動機を引き出します。

ステップ2：チームごとの“ミニPDCA”を動かす

学習が組織文化として根づくには、評価と改善が循環していく仕組みが必要です。

● シンプルなミニPDCAの導入

  • Plan：一つの課題に絞って改善テーマを設定
  • Do：1〜2カ月で取り組む小さな行動を決定
  • Check：成果や課題を確認
  • Act：次の行動を調整

● 幹部層の役割は“監督”ではなく“伴走”

  • 現場の難しさを聞き取る
  • 無理のない進め方を調整する
  • 小さな成果を称賛し、動機づける

この関わりが、学びを継続させる力になります。

ステップ3：実践を「語り合う場」をつくる

学びを組織に定着させるには、実践を共有する場が欠かせません。

● 事例検討会 × 評価項目

評価項目に沿って事例を振り返ると、気づきが深まり、職員の視野も広がります。

● “気づきメモ”を共有する文化を育てる

壁のホワイトボードやデジタルツールに気づきをすぐ書ける仕組みを作ると、学習が日常化します。

ステップ4：成果を見える化し、成長実感を生む

人は「成長が見える」ことで次の行動を起こせます。

● 成果の可視化例

  • 改善前後のチェックリスト
  • チームごとの改善カード
  • 成果を掲示するミニボード
  • 1分動画での“成功体験共有

こうした可視化が、学びを継続するエネルギーになります。

■ 幹部層が避けるべき3つの落とし穴

  1. 丸投げすること
    　指示のみでは職員は主体的になれません。
  2. 業務負担として扱ってしまうこと
    　改善は“働きやすさ”につながる取り組みとして位置づける必要があります。
  3. 成果を讃えないこと
    　忙しい現場では小さな成功が埋もれがちです。称賛が文化を育てます。

■ まとめ

第三者評価は、外部の視点で施設を見直す“装置（機会）”であると同時に、組織の学びを高めるためのツールです。
評価を使って学びの場をデザインし、職員が主体的に改善に取り組める環境を整えることで、組織は確実に強くなっていきます。

▪️この記事を書いた人▪️

横滝公市
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